伊勢鮨 小樽

Nowhereman

2009年06月22日 13:11

 小樽と言えば「鮨」。
 「寿司屋通り」という通りがあったり、多くのお寿司屋さんが暖簾を並べているので、観光客の皆さんは「どこのお店に入ったらよいのか」どのように予習をされてきているのだろう・・・。

 自分が通うお店の一つは「伊勢鮨」さん。


 中学生の頃だっただろうか。
 もはや家中が寝静まった23時過ぎに一人本を読んでいると、父親が帰宅する。
 「なんだ。勉強していたのか? お腹空いていないか?」と、今は亡き父親は、近所の寿司屋のカウンターに自分を連れて行ってくれたものだ。
 決して裕福な家庭ではなかったのだが、その頃自分が食べることのできるネタは、いか、たこ、まぐろと限られていたし、そもそも食が細かったこともあり、それほど高額な料金が請求されていたわけでもなかったのだろう。

 そうした経験を積み重ねていると、高校生になれば喫茶店でも独りカウンターでコーヒーを飲み、どこに行くにせよ独りでカウンターという「空間」が居心地のよいものとなっていったようだ。

 さて、伊勢鮨さんはいつも混みあっていて、当日予約してもお店に席を確保できないこともあるので、「出前」をお願いすることもあるのだが、先日は運良くカウンターに座ることができた。
 大将やNさんと話しをしながら、うにの食べ比べ(ばふん、むらさき)、かにの食べ比べ(ずわい、たらば)などなど、贅沢な時間を過ごさせていただいた。

 伊勢鮨さんの握りの特徴は、何と言っても「塩」の使い方が絶妙で、醤油を使わずほとんどの握りをいただくことができること。


 一品料理も美味しいので、鮨の合間に「くじら」をいただいたり。

 冷酒も進む。ママさんが「日本酒ソムリエ」ということもあり、いつも大変に美味しい日本酒をいただくことができるのもまた、伊勢鮨さんの素晴らしいところ。

 終盤、「コマイの子」をいただく。

 濃厚でありながら、このとろける感覚はどういうことなのだろう。

 伊勢鮨さんでは外すことのできないネタがある。
 それは、古平産の「たらこ」の握り。

 本州から大切な方が小樽に来られた際には、なるべくこの握りを食べていただくことにしている。
 「私、たらこって駄目なのよね~」と語っておられた方が、一口食べて「美味しい!!」と絶賛し、もう一貫握ってもらったこともある程、お奨めの一品である。

 この日はカウンターの奥に貼ってあった「ポスター」に目が行き、「実は自分もこの企画に関わっているんですよ」と大将と話しをしていたら、当の原作者さまが奥座敷にいらっしゃった(爆)。世の中、実に狭いものである。
 悪口など言うはずもないが、小樽の街では、人の噂はやめておいた方がよいらしい。

 カウンターでのお好みは、年に数回程度しかできない贅沢ではあるが、その贅沢に応えるべくパフォーマンスを繰り広げてくれる「伊勢鮨さんに、乾杯!」なのだ。
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