伊勢鮨 小樽
小樽と言えば「鮨」。
「寿司屋通り」という通りがあったり、多くのお寿司屋さんが暖簾を並べているので、観光客の皆さんは「どこのお店に入ったらよいのか」どのように予習をされてきているのだろう・・・。
自分が通うお店の一つは「伊勢鮨」さん。
中学生の頃だっただろうか。
もはや家中が寝静まった23時過ぎに一人本を読んでいると、父親が帰宅する。
「なんだ。勉強していたのか? お腹空いていないか?」と、今は亡き父親は、近所の寿司屋のカウンターに自分を連れて行ってくれたものだ。
決して裕福な家庭ではなかったのだが、その頃自分が食べることのできるネタは、いか、たこ、まぐろと限られていたし、そもそも食が細かったこともあり、それほど高額な料金が請求されていたわけでもなかったのだろう。
そうした経験を積み重ねていると、高校生になれば喫茶店でも独りカウンターでコーヒーを飲み、どこに行くにせよ独りでカウンターという「空間」が居心地のよいものとなっていったようだ。
さて、伊勢鮨さんはいつも混みあっていて、当日予約してもお店に席を確保できないこともあるので、「出前」をお願いすることもあるのだが、先日は運良くカウンターに座ることができた。
大将やNさんと話しをしながら、うにの食べ比べ(ばふん、むらさき)、かにの食べ比べ(ずわい、たらば)などなど、贅沢な時間を過ごさせていただいた。
伊勢鮨さんの握りの特徴は、何と言っても「塩」の使い方が絶妙で、醤油を使わずほとんどの握りをいただくことができること。
一品料理も美味しいので、鮨の合間に「くじら」をいただいたり。
冷酒も進む。ママさんが「日本酒ソムリエ」ということもあり、いつも大変に美味しい日本酒をいただくことができるのもまた、伊勢鮨さんの素晴らしいところ。
終盤、「コマイの子」をいただく。
濃厚でありながら、このとろける感覚はどういうことなのだろう。
伊勢鮨さんでは外すことのできないネタがある。
それは、古平産の「たらこ」の握り。
本州から大切な方が小樽に来られた際には、なるべくこの握りを食べていただくことにしている。
「私、たらこって駄目なのよね~」と語っておられた方が、一口食べて「美味しい!!」と絶賛し、もう一貫握ってもらったこともある程、お奨めの一品である。
この日はカウンターの奥に貼ってあった「ポスター」に目が行き、「実は自分もこの企画に関わっているんですよ」と大将と話しをしていたら、当の原作者さまが奥座敷にいらっしゃった(爆)。世の中、実に狭いものである。
悪口など言うはずもないが、小樽の街では、人の噂はやめておいた方がよいらしい。
カウンターでのお好みは、年に数回程度しかできない贅沢ではあるが、その贅沢に応えるべくパフォーマンスを繰り広げてくれる「伊勢鮨さんに、乾杯!」なのだ。
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