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2011年08月16日

とある「Bar」にて

 ワインのことが好きになる前に、モルト(Malt)が好きだったことは既に何回か、ブログにも書いたかも知れない。
 ロックでモルトをいただきつつ、そこに流れるゆるやかな時間を楽しむことが好きだった。
 不思議なことに、ワインに嗜好が移るにつれ、「Bar」と名のつく店から足が遠ざかっていたのは事実である。

 先日、「自分の好きな作曲家の曲で、カクテルの名前が付いた曲があるんだけど、飲んでみたい」というリクエストをいただき、久し振りに馴染みだったススキノの「Bar」に足を運んでみた。

 店に入ると、すでにカウンターは満席に近い状態。
 テーブル席に着席し、まずは自分の注文したいモルトから。
 「The Machallan(マッカラン)、ロックで」。
 「すいません。今、切らしているんです」、と。

 マッカランを置いていないBarなど、そもそも自分自身かつて経験したことがないのだが、足が遠ざかっていた店とは言え、ススキノでも名前が通っている店でのこの反応に、M7.0級に驚いた。

 「それじゃ、Talisker(タリスカー)」。
 「すいません。タリスカーも切らしているんです」と言われると、一体全体、どうなっているんだろうと不安になる。

 Highland Malt(ハイランド・モルト)、中でもSpeyside Malt(スペイサイド・モルト)と言われれば、ワインに例えれば、ボルドーの中でもメドックを注文しているようなもので、メドックからボルドー全域にまで拡大してまで飲みたいメジャーなモルトがない。
 信じられないくらい、悲しい。

 意を決して「Laphroig(ラフロイグ)はあります?」と尋ねてみたが、「あります」とニコヤカなオーナーの返答。
とある「Bar」にて
 丸氷ではない。
 色々思うところはあれど、Islay Malt(アイラ・モルト)をいただくことに。
 ワインの世界には例えられない、このビートのフレーバーによって表現される、濃厚な香味。
 もともとモルトが好きな自分で救われた~、と思った瞬間でもあった。

 結局「自分の好きな作曲家の曲がカクテルになっている」かどうかは、お借りした『カクテル辞典』には出てくることなく、皆であれやこれやと試してみることに。
とある「Bar」にて とある「Bar」にて

 カクテルの名前はもちろん、味や香りに至っては、結果として飲んだ本人にしか分かるはずもなし。

 「ショートではなく、ロングを試してみたら?」。
とある「Bar」にて
 人生初のBar体験の数名が、美味しいと言っていたのだが、彼らにとっての記念になれば。

 「Bar」は、大人の社交場だと自分は思っている。
 大人の社交場だからこそ、加わるもののマナーも必要だろうし、逆に欠けてはならないものもあるのだ。

 それにしても、基本的なモルトを店に揃えることができないのであれば、かなりススキノは不景気なのだろうなぁと「現実」に引き戻される。
 確かに、カウンターに座っていた客たちは、一杯のカクテルを飲み干したら、次から次へとキャッシュで立ち去る。

 ごく自然にカードで支払おうとしたときに、「申し訳ありませんが、カードの手数料をいただいてもよろしいですか?」と言われた。その瞬間、ススキノの「Bar」の凋落を肌身に感じ、「今」というときのさらなる現実の深みへと引き戻されたのであった。

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Posted by Nowhereman at 22:15 │Whisky

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