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2009年10月10日

ペットボトル入りワイン

 「「ワイン文化史」って、具体的にどんなことを研究しているんですか?」という、素朴な質問をメールでいただくことがある。

 恐らく定義などないのだが、世界中のそれぞれの地域において「ワイン」が果たしてきた役割、それにまつわる戦争や平和会談、また、ワインを保管する技術の変遷とその応用など、ワインにまつわる幅広い領域について研究していくこと。
 自分はそのように解釈している。
 興味があれば、『ワインの文化史』(ジャン=フランソワ・ゴーティエ著・白水社)が値段的にも求めやすい書物であり、さらに研究を深めたい方には『ワインの文化史』(ジルベール・ガリエ著・筑摩書房)をお奨めするがかなり高価なので覚悟して購入する必要がある。が、どちらも八木尚子さんの、とても読みやすい翻訳によって、すーっと頭に入る内容になっている。

 ワインの保管方法や運搬技術は、一人ワインだけのためではなく、偶然にその用途をワインにまで拡大していったというものも存在する。
 現在世界で広く用いられている「ガラス瓶」による保管は、ガラス加工技術がなければ成り立たなかったし、コルク栓を用いるというアイディアがそこに重層的に重なることによって汎用化されるに至っている。

 山梨県で明治の時代に初めて造られたワインの蓋は、「勝沼ぶどう郷」のカーブで見ることができるように、コルクではないのである。なぜなら、コルク樫の木など日本国内には存在しないから、当たり前のこと。

 地球温暖化を食い止めるためCO2の排出量を減らすためには、ワイン愛好家の皆さんはワインの「ガラス瓶」による保管という概念を、一度リセットしなければならないことになるだろう。
 世界中、統一した瓶を用いることになれば、再利用するための「瓶洗浄」だけで済むのだが、現在のようにガラス瓶を1000度を越える熱により溶解し、さらに高熱を加える脱色工程を経て、再度成形する方法を続けていては、CO2排出の元凶であると言われても仕方がないのだ。
 おまけに、ガラス瓶自体、重量が重たいこともあり、運搬することによるCO2排出量の増加という問題も見過ごすことにはならない。

 日本酒のように紙パック方式を選ぶのか、焼酎のようにペット方式を選ぶのか、はたまた別の方式を選ぶことになるのか。
 そんなことを真剣に考えていると、近所の酒屋さんで「ペットボトル」入りのワインを発見。
 フランス産のVdP。セパージュはカベルネ・ソーヴィニョン。
ペットボトル入りワイン
 エチケットではなく、裏面の「PET」という表示に注目。

 1本1,000円近い値段であることから躊躇するが、購入して飲んでみた。
 ディリーワインとしては、十分である。

 オーストラリアでは、コルクを用いず、既にスクリューキャップへと移行を進めているが、近い将来「ガラス瓶」から「ペット」への移行もCO2削減を考えれば止むを得ない選択となるのだろう。
 なお、オーストラリアではなぜスクリューキャップへと移行を進めているのか、その答えを知ることが「ワイン文化史」の研究の一つでもあるのだ。(敢えて、ここには答えは書きません。)

ペットボトル入りワイン
 ちなみに、エチケットはこちら。
 果実香が強く、とても飲みやすい状態に仕上がっているワインであった。

 今のところ、小樽はよい天気だが、風が強い。
 今回の台風18号により被害を受けた多くの皆さまには、心からお見舞い申し上げます。

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Posted by Nowhereman at 11:54 │Vin

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